はんなりとした色彩の装束と、穏やかな表情がその名の通り雅な印象の雛飾り。
屏風や燭台のぼんぼりなど、
シンプルなしつらいが金襴の格調ある装束をさらに引き立てます。
当店でご紹介のお雛様は、すべて私自身が大好きでお薦めしたいお品ばかりですが、
こちらののお飾りは中でも特に大好きなものの一つです。
とても美しく、優雅さと凛とした静かな上質感を感じます。
お雛様の淡い紅色は、少しだけ黄みがかっていて「鴇色(ときいろ)」でしょうか。
トキの羽は純白で、その羽の無い顔と足が赤いことが特徴です。
ですが、この色名の由来はその風切羽や尾羽の一部が淡い紅色だから。
今では天然記念物に指定され、野生のトキが飛んでいるところなどなかなか見ることはかないませんが、
江戸時代頃には田畑と山里を行き来する、見慣れた鳥だったのですね。
平安時代にはトキは「桃花鳥(つき)」といわれていたそうなので、
この色名が生まれたのも、江戸時代くらいからでしょう。
お内裏様の装束は「裏葉柳(うらはやなぎ)」。
柳の葉裏の色で、淡い黄緑色のことです。
葉の色は表よりも裏のほうが白っぽいことが多いですが、柳や葛はとくにそうだといわれています。
葉にちなんだ色名は、西洋でも「リーフグリーン」などがありますが、
裏側の地味な方の色に目をつける繊細な感覚は、平安貴族の美意識の大きな特徴です。
貴族たちはものすごーく暇だった(失礼します!)ので、ちょっとした変化に敏感だったそうですよ。
装束の文様は、お雛様は春らしい流水に桜模様。
お内裏様は雪輪の地模様に桜が散らされていて、冬から春の移り変わりをあらわしているようです。
屏風も全面的な金箔でなく、金片散らしの穏やかな華やかさで品格があります。
大切なお子様にも、そして大人の女性にもご満足いただける、京都の職人さん手作りのお品です。
【お細工物について】
ちりめんの端切れを使った様々な物を「お細工物」といいます。
古くは大奥から始まり、押し絵や摘み細工、切嵌(きりばめ)、木目込(きめこみ)、
裁縫などその手法は様々です。
少し前までは、どの家庭でも少なからず行われていました。
人形細工もその一つですが、小さな布も大切に、「もったいない」と生かす日本人の知恵ですね。
こちらで紹介するお飾りも、すべて手作りのため、描き絵の表情や友禅柄の出具合などに
違いがございます。
商品画像はできるだけ実商品に近い色に合わせておりますが、ご覧になるディスプレイのモニターの
環境により、実際の色と多少異なる場合がございます。
あらかじめご了承ください。
今では自分でつくるのはなかなか大変ですが、京都で一つひとつ手作りされた細工物のぬくもりを、
ぜひ身近に置いて「ほっこり」癒されてください。