私たちは日々、色の洪水の中で暮らしています。
物にはすべて色があるのですから、それは当然のことと言えるでしょう。
ですが毎日の生活では、その一つひとつの色名を意識する事は少なく、表現に用いる色名も驚くほど少ない事に気づきます。
もちろん、普段の生活においては何の支障もなく、一般的な(子供の頃の色鉛筆の12色のような・・・)色名の方がわかりやすく便利なのかもしれません。
しかし、日本には長い歴史の中で育まれた、とてもたくさんの美しく豊かな色の名前があります。
その数、諸説ありますが、400色とも2000色ともいわれています。
茶色と鼠色だけでも300色以上はありますから・・・。
これは世界的に見ても、とても多いことはまちがいありません。
他の国はどうかというと、ヨーロッパの国々でも100色から300色くらいの国がほとんどだそうです。
これって、かなり自慢できることだと思うのです。
では、なぜ日本にはたくさんの色の名前があるのか?
一番の理由は、四季があるから。
特に、長く日本の中心だった京都は、周りを山々に囲まれ四季の移り変わりが大きな地域です。
春には花々が美しく咲き乱れ、夏には強い陽射しに緑が映え水辺の光が眩しく、秋には山々が艶やかに紅葉し、冬には枯れ木に雪がつもり幽玄な風景がひろがります。
この豊かな自然風景から多くの色の名前が生まれました。
他の国を見ると、動物や食べ物や飲み物、土の色などからつけられる色の名前も多いのですが、日本の伝統色は6割以上が植物から由来しています。
また長い歴史の中で、他の国からの影響が少なく、独自の文化が発展できた平和な時代があったことも理由の一つ。
平安時代は、遣唐使を廃止してから日本らしさの元となる和様の美が完成。
江戸時代には、長きに渡る戦乱が終わり、天下太平の世に大衆文化が花開きます。
どちらも、多くの伝統色が生まれた時代で、平和の中にこそ色彩文化の発展がなせるという事でしょう。
色の名前にこだわるなんて、ある程度のゆとりがないと出来ないし、贅沢なことですね。
歴史の続きを生きている、現代の私たち。
「和雑貨と日本の道具 とうび」は、現代の暮らしにこそ日本の伝統色の持つ、美しい響きや繊細な視点、豊かな情緒を取り入れ、楽しめたら・・・と考えています。
そして、「ご紹介する商品を、自分たちの言葉で丁寧に!」を心がけ、
日本の伝統色を用いてご案内してまいります。